OSの進化

Brinch Hansen教授のThe Evolution of Operating Systemを読んでみた.これは,OSが存在しない,まさに裸の計算機を使っていた時代から,バッチプロセッシング,マルチプログラミング,タイムシェアリング,並行プログラミング,パーソナルコンピューティング,分散システムと進化していったOSについて,各世代のパイオニア的論文を紹介した文章である.どうやら,Classic Operating Systems : From Batch Processing to Distributed Systems(isbn:038795113X)の序論らしい.

同氏は,Edsger Dijkstraが階層化によるシステム構成を提案していたころに,RC4000マルチプログラミングシステムで,カーネルに相当するNucleus*1という概念や,メッセージパッシングによるシステム構成を提案したり,Concurrent Pascalを開発したりした人.Simula67にインスパイアされてMonitorの概念を生み出したのも彼である.

しかし,2000年に書かれた文章にしては,一番新しいOSがAmoeba (1990)だしなぁ.Rob PikeのPlan 9 from Bell Labs (1995)も引用はされているけど.80年代までに基本的なアイデアは出尽くして,後は革新的な仕事はないというような雰囲気だ.50年間の歴史を30ページにまとめると,取捨選択に偏りがでるのはある程度しかたないけど,興味のある人は読んでみては.

OrganickのMultics本も手に入れたから,読まないとなぁ.

*1:TRONのNは,Nucleusだね