恒温動物と計算機
我々哺乳類を含む恒温動物と計算機の類似性についてちょっと考えてみる。恒温動物と計算機、それぞれの至上命題は子孫を残すこと、計算をすること、と言えるが、どちらもその維持管理に莫大なエネルギーを要している。
唐突にこんなことを書き出したのは、最近、1992年のベストセラー「ゾウの時間 ネズミの時間」を読み返していて触発されたからだ。本書はサイズという視点を通して見る生物学が面白く話題になったのだが、その主題とは別に今回気になった箇所を引用する。
組織生産機械としてみると、恒温動物は、はなはだ効率が悪い。同化したエネルギーの大部分をただ燃やしてしまい、後にはほとんど何も残さないのが恒温動物である。
恒温動物は体温を維持するために、摂取したエネルギーの77%を呼吸で燃やし、21%を糞として排泄する。成長に使われるのは残りのたった2%である*1。一方、計算機は、データセンターの話を以前書いたが、こちらもほぼ100%熱になって排出される。計算機がサスペンドするように、哺乳類でも冬眠して省エネモードになる動物がいる。しかし、熊のような大型のものは、冬眠中も体温を下げられないのだそうな。なんだか、リーク電流でアイドル時も同じくらい電気を食ってしまう最近のプロセッサのようではないか。ただ、ヤマネなど小型のものは、体温を下げて省エネできるそうだ。
人は冬眠するわけにも行かないし、そもそも人間が生物的に最低限生きるのに必要なエネルギーは100W電球より少し小さいぐらいとすると、日本人なんかはその何十倍ものエネルギーを使って生きているわけだ(本書によると昭和61年時点で日本人の平均エネルギー消費量は4400ワット。標準代謝量をその半分と見積もると、それはゾウに匹敵するそうな)。そろそろ省エネについてプログラマ的な立場から何ができるか考えてみる、というのが今年の目標の一つだったりする。
さて、Plan9の省電力機能ってあまり期待できそうにないけど、APMのコードはなにやら存在するのね。。。
- 作者: 本川達雄
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1992/08/01
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*1:ちなみに変温動物は30%が成長に使われる。