Linuxに勝てなかったPlan9

@ITで「Linuxに勝てなかったPlan9」という記事が掲載されている。Plan9の失敗の原因をESR氏の「The Art of Unix Programmingの一章」に求めている。引用すると、

マーケティングに熱心でなかったからとか、さまざまな理由付けが可能だが、Plan 9が普及しなかった理由は結局のところ、旧来のUNIXを置き換えるほどには先進的ではなかったからだ、というのがレイモンド氏の答えだ。

 Plan 9に比べれば、確かにUNIXはきしみ音が聞こえてガタピシいうし、明らかにさび付いたところもあるのだが、そのポジションを維持するために必要な仕事はちゃんとこなせていた。このPlan 9UNIXの事例から、野心的なシステム設計者に対してレイモンド氏が引き出す教訓は「より良いソリューションに対する最も危険な敵というのは、十分に良い既存のコードベースなのだ(the most dangerous enemy of a better solution is an existing codebase that is just good enough.)」というものだ。

そして「新しいことは上位レイヤで実現すればいい」という著者の主張はよくわかるのだが、どことなく居心地悪くない?

また、研究OSってそんなもんだよという思いもある。Linuxという下位レイヤを維持するために、日々膨大な人的/知的リソースが投入されているわけだけど、Plan9のような少数精鋭による思考実験も、新しい進化のためには必要だ。その成果が新しい燃料として、実用OS(Linux)に投下されると。
これに関しては、以前「今OSを自作する意味」に書いた。

私は無邪気に「2009年のPlan9」がいろいろ出てくることに期待しますが;-)

(追記:2009-02-23)元記事が@ITの週間アクセスランキング2位になったようで、「【Top10】さらばDLL地獄、純関数型OS「NixOS」」という記事が出ている。本エントリにも言及していただいた。
さて、Linuxなどに影響を与え、現在のPlan9に残された魅力って何でしょうね。

The Art of UNIX Programming

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