Citrix Cloud Vision 2012 Spring
4月19日都内でCitrixのイベントがあったので参加した。といってもほとんど内職していたので、記憶に残っている部分についてメモを残しておく。
Citrixを意識したのは、XenSourceの買収したときだったか。シンクライアントの会社がなぜにとか思った。そして去年の今頃Cloud.comを買収し、ハイパーバイザからクラウドスタックまで手に入れた。これを機にCitrixのことをWikipediaで調べてみたら、その社名はCitrus + UNIXに由来していると書かれていてびっくり。元々Citrixの創業者はOS/2をUNIXみたいなマルチユーザ環境にしたいと考えていたそうな。そしてCItrusは創業の地、フロリダに由来する。
閑話休題。Citrixのイベントに参加するのは初めてだけど、この一年ですっかりクラウドに軸足を移してきた印象を受けた。CloudStackはOpenStackと比較しても安定しており、商用での実績でリードしている。このイベントでの最大のニュースは(事前にアナウンスされていたけど)、CloudStack 3.0のApache Software Foundationの寄贈、そしてライセンスがGPLからApache Licenseになったことだ。これはCloudStack中心のエコシステム構築に向けてよいニュースになるだろう。機能的には3.0で、OpenStackプロジェクトで開発されているストレージSwiftの統合、Network as a Service (NaaS)と呼ばれるネットワーク機能の強化が挙げられていた。後者に関しては、NetScalerやCloudBridgeあたりがキーコンポーネント。NetScaler SDXはXenServerベースの仮想化アプライアンスで、SR-IOV対応10GbEやSSLアクセラレータを採用しているという点が気になった。CloudBridgeはデータセンタ間の接続するゲートウェイで(NetScalerのインスタンスとして動作する)、トンネリング、WAN最適化、グローバルロードバランシング機能を提供する。
国際大学GLOCOM(NTT Com)の林氏が、2012年のオープンクラウドの動向について講演。IaaSとOpen Flowの統合がホットなネタ、またIaaSの成熟にともなって、Cloud FoundryやOpenShiftなどのOpen PaaSが話題になり始めているとのこと。CitrixはOpenStackにも大きく貢献しているが(コミット数?で言うと、CitrixやMidokuraは4、5番目あたり)、今後の動向に注目。OpenStackの実運用に関しては、HP Cloudの動きに注目。続いてCloudStackのユーザサイドの話として、北海道大学、IDC、SCSKの講演があり、最後にアカデミッククラウドのパネルに参加した。
アカデミッククラウドとは、パブリッククラウド、プライベートクラウドとも異なる、コミュニティクラウドという位置付けで、大学や研究機関の間で計算機資源を利用しましょうというもの。まさに一昔前に流行ったグリッドの匂いを感じるが、どう立ち上がっていくのか楽しみだ。そこでモデレータの棟朝先生が強調していたのは、運用まで見据えた技術開発とインフラ整備の重要性。これには強く同意。特に前者は日本のアカデミアの非常に弱い部分だと思う。インフラや運用に近い部分は工数がかかるわりに論文になりにくいということが大きい理由ではあるのだけど、その辺の現状が打開できる妙案はないものか。パネラからは、広島大のキャンパスクラウド、学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)、HPCI、NIIのebubase Cloud、Guniiなどの活動が紹介された。