分散オペレーティングシステムとは?
Plan9が最初にリリースされたのは,1992年.これは分散OSの中では,特に早いわけではない.「分散オペレーティングシステム -- UNIXの次にくるもの」って本もあったけど,出版されたのが1991年なんで,Plan9の記述はない.計算機がネットワークにつながり始め,分散処理が重要になることは明らかなトレンドにみえたので,80年代後半から90年代の前半ころ,OS研究者はみな,次は分散OSの時代が来ると考えていた.
さて,いまどきのOSでネットワークにアクセスできないOSはかなり限定されるだろうし,そもそもUNIXだってTCP/IPを始めとしたネットワークに強いってことで普及していった.では,ネットワークが扱えるOSと分散OSの違いは何だろう?重要なキーワードが「ネットワーク透過性」である.UNIXやWindowsでは,Webなり,SSHなり,ネットワークの先にサーバがあり,そこにアクセスするということをある程度意識せざるを得ない.分散OSは,特定のアプリや,NFSのような分散ファイルシステムに限定されたものではなく,プログラミングレベルから,ネットワーク(分散)を意識しなくてもよくなることを目指している.
今振り返ってみて,現実はどうであったか.分散OSの時代は来なかった.現在,時代を席巻しているのは,Webであり,もっと疎結合なつながりである.
では,なぜ今,Plan9に注目するのか.それは...(続く)
- 作者: 前川守,所真理雄,清水謙多郎
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 1991/12/25
- メディア: 単行本
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